9月3日に開催された第5回のリアル寺子屋は、「ブルーベリーガーデン旭」を閉じ、「コンコントフィールド」として出発された小宮真一郎さんにご登場いただきました。
気づいてしまった!
大人気の観光農園だったブルーベリーガーデン旭。雑誌や新聞等を賑わせた小宮さんでしたが、ある日、農園を閉じる決断をすることとなります。
理由、それは、たくさんの来場者が、水源と森を弱らせていることに<気づいてしまった>から。
代々名主として大井町山田に住み続けてきた小宮家。自分の代で豊かな水と森を終わらせるわけにはいかない!そんな思いが小宮さんを突き動かしたのでした。
当然ですが、収入は、激減します。ところが、家族経営で農業をやってきた小宮さんご一家でしたが、お父様が体調を崩され、一家の生活はますます小宮さんの両肩に重くのしかかってくることとなりました。
毎日、毎日、汗水流して手で摘むブルーベリーが主な収入源。雑草と戦い、暮らしと戦いながら、小宮さんは全力、いや、命懸けで水と森の再生に取り組んでいます。
思いは届く
でも、強い思いは、必ず届くものです。いまでは、30名を超える仲間たちが水田耕作や自然の再生に力を貸してくれるようになったといいます。
苦しい毎日は変わりません。でも、500年、1000年先の故郷の姿を思い描く小宮さんの壮大な挑戦は大勢の仲間を巻き込みながら続きます。
大切なものに気づき、守るという生き方
今回もたくさんの参加者がいたのですが、僕は、たくさんの子どもたちに対して、二つのことを伝えずにはいられませんでした。
ご先祖様の守ってきた自然を守りたい、そんな熱い思いを僕たちは聞かせてもらいました。では、僕たちには、収入源を絶ってでも、体を張って守らなければならない<大事なもの>があるでしょうか?
もうひとつ。<気づいてしまった>と語る小宮さん。僕たちは、大切な何かに気づいたとき、知らんぷりせずに、行動を起こせるでしょうか?
小宮さんの生きかたは、僕たちにとって、そう簡単にマネできるものではありません。いえ、もっと正直に言えば、彼のような生きかたは僕にはムリです。
だけど、自分自身の生きかたを考えたとき、いまのままでいい、とは、どうしても思えませんでした。
貧しくなってもいいから守りたいくらい大切なものを探しつづける。気づいたら動く、動けないなら、動けない自分のことを情けなく思い、なんとかしようと頑張る。そんな努力くらいは僕にだってできるはず。
こんな生きかたもあるんだよ、ということが子どもたちにちょっとでも伝わったら嬉しいです。
私たちにできること
今回は小宮さんの育てたブルーベリー、そしてそれを使ったタルトとマフィンが販売されました(今屋健一さん、神戸さえさん、ありがとう!!)。あっという間に完売。小宮さんの思いが伝わったんだなぁって、ちょっぴり嬉しくなりました!
でも、本当の恩返しは、小宮さんたちの実践の輪がもっともっと広がるお手伝いをすること。
以前、<風の谷>の仲間の加藤憲一さんが「草むしりくらいならできるからさ、いつでも言ってよ」と話していたことを思いだしました。僕にだってできることはたくさんあるはず。あれこれ考えてみたいと思っています。
(文-風の谷あしがら(井手英策))